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2024年1月28日説教要旨「よいぶどう酒」

  • masuda4422020
  • 2024年2月5日
  • 読了時間: 3分

ヨハネによる福音書 2章1~11節 桝田翔希牧師


学生時代にバイトしていたネパール料理屋では、タンドリー窯でナンが焼かれていました。タンドリー窯とはつぼ型の窯で、中にガスや電気、炭火などによる熱源があり内部が500度くらいになり、ツボの内側側面にナンを張り付けたりして調理する道具です。タンドリー窯はいわばインド料理屋では欠かせない仕事道具ですが、生き物のように扱われ大切にされていました。ある時私自身もタンドリー窯が生き物のように思えたことがあり、バイト先のタンドリー窯は炭火のタイプだったのですが、その日はタンドリー窯の調子が悪く火が起こりづらかったのですが、突然火を噴きだすということがありました。生き物だと思いました。ガスや電気など人間が容易にコントロールできるものが増えてきた昨今、道具は人間の思い通りに機能しますが、一昔前の人間がうまくコントロールできない部分が残っていた道具が多い時代には道具が生き物のように感じられることは多かったと思います。日本では失われていっている感覚ではないでしょうか。お客さんでナンがでてくるのが遅いと怒る方もおられましたが、生き物なのでしょうがないのです。しかし、そんなことはお客さんに伝わりません。

ヨハネによる福音書2章では、イエスが水をぶどう酒に変えるという奇跡が書かれています。ヨハネによる福音書の中では、最初の奇跡という位置づけになっていますが、治癒奇跡などとは違い痛みや苦しさというものがあまり含まれていません。また、他の福音書にも記録されておらず、どの様な意図の物語なのか特定しづらいということもあります。なぜこのような話をヨハネによる福音書の著者は最初に持ってきたのか疑問です。他の宗教と比較してこの個所を考えますと、ギリシャ神話に登場するディオニューソスという神は水を酒に変える神であったそうです。恐らくヨハネによる福音書の著者はそのようなほかの宗教の物語をイエスに当てはめ、キリスト告知のために使ったというのが編集の意図だったのかもしれません。ヨハネによる福音書の著者は、他の宗教(文化)と向き合う必要性があったのでしょうか。

タイで活動された宣教師の小山晃佑さんは、他の宣教師を見て「あの方は栄え、わたしは衰えねばならない。(ヨハネ3:30)」という聖句を思い出すと語っておられました。そしてこの聖句から「ヨハネ原則(小山晃佑『水牛神学―アジアの文化のなかで福音の真理を問う』2011年、p.266)」という思想を説明しました。小山さんは東南アジアでの宣教は「十字軍精神(Crusading Mind)」ではなく「ヨハネ原則」であると語りました。「十字軍精神」、すなわち軍隊や大きな力をもってキリスト教以外のものを駆逐したり塗り替えていくということではなく、「ヨハネ原則」の「あの方は栄え、わたしは衰えねばならない。」とあるように宣教師が衰えていくとき、その土地が豊かになっていくということです。このことは「イエスが『われわれを』盛んにするために自ら衰える道を選んだ(同上、p.267)」ことと重なるのです。また、小山さんは他の宗教との対話においては「『相互豊潤化』について語るべき(同上、p.13)」とも説明しました。ヨハネがこの物語を書くとき、他の宗教を「十字軍精神」と「ヨハネ原則」のどちらで書いていたのかはわかりません。この物語の後のすぐにヨハネ原則が語られるので、そのように考えていたかもしれません。私たちも、ヨハネ原則に倣いながらほかの文化に接すること、そして他者と出会うということを大切にしたいと思います。

 
 
 

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