top of page

2024年7月7日説教要旨「裁かれない」

  • masuda4422020
  • 2024年7月6日
  • 読了時間: 3分

ヨハネによる福音書 5章19~36節 桝田翔希牧師


聖霊降臨節を迎え、この所は聖霊や三位一体ということに関係する聖書箇所がよく選ばれています。新約聖書は「イエスは神の特別な子ども」という意識をいくつかの箇所で持ち、特にヨハネによる福音書では「父-子関係が前面に染みわたって(A. E. マクグラス『神学のよろこび』2019年、p.157)」おり、神とイエスが同じ存在であるという意識があります。このことは、三位一体という考えで言えば難なく説明できますが、イエスがマリアから生まれた人の子であれば、少しおかしな表現でもあります。当時は「ヨセフの子」のように父親の名前を関連させて呼ぶということが一般的であり、その背景には家系が重んじられるということがありました。ユダヤの伝統的な系図ではなく、イエスが神の子であると告白するとき、「イエスは神の子である」という告白は、家系の問題や人種差別の問題につながるものではないでしょうか。

ベトサダの池で病人を癒したイエスは、その日が安息日であったのでユダヤ人と論争になります。聖書にはこの状況が「ユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうとねらうようになった。イエスが安息日を破るだけでなく、神を御自分の父と呼んで、御自身を神と等しい者とされたからである。(18節)」と説明されています。ユダヤ教の考えとして神以外を尊敬するということはしてはいけないことであり、ましてや自分が神と同一であるという三位一体的な表明は到底受け入れられませんでした。私たちは三位一体という考えで見れば、このようなイエスの発言をすぐに受け入れることができます。しかし、それ以外にも意味があるように思うのです。血統を重んじ父の名前を通して個人が説明されることへのアンチテーゼも読み取ることができるのではないでしょうか。

現代においても人種差別や家系による差別で残酷に命が奪われる実情があり、一方では闘いの成果として一見すると差別が少なくなったように感じられることもありながら、「無意識的かつ意図的ではないバイアスこそが、周縁化された人々に圧倒的な困難を作り出している(D. W. スー『日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション』2022年、p.61)」こともあります。これは、知らないうちに埋め込まれたイメージによって一定の人たちに意図しない形でひどい発言がされている状況が多くあるという指摘です。T. W. ウォーカーは黒人霊歌について「たいていのアメリカ白人は、黒人には非西欧的ないかなる歴史的宗教、音楽、ないし文化もないと誤って考えている(T. W. ウォーカー『だれかが私の名を呼んでいる』1991年、p.16)」と指摘しました。差別の中で無価値にされる力があるのです。イエスは神の子であるという告白は、血縁や人種を超えて私たちが価値のある存在であることも説明しているのではないでしょうか。

 
 
 

最新記事

すべて表示
2025年6月1日 復活節第7主日礼拝説教要旨「ここにはいない」

ルカによる福音書24章44~53節 ペンテコステは、言語や民族の違いを超えてキリスト教が広まっていったという出来事ですが、イエスが生きた時代のイスラエルはローマに支配されており、誰が仲間で同じ民族なのかということは大きな問題でした。「民族・国民(ネーション)」の問題が大きくあったのです。現代に生きる私たちは急速なグローバル化の中にあって、社会の変化を身近に感じるようになりました。私たちは「民族・国

 
 
 
2025年5月25日 復活節第6主日礼拝説教要旨「イエスの祈り」

マタイによる福音書6章1~15節 先日行われた教区総会では、上程された議案がすべて可決されましたが、法定議案の他に可決された大きなものとして教区互助に関連した新たな教区負担金の算定基準が2026年度から行われるということが可決されました。なぜこのような議案が出されたのかというと、支えあうということが教区として寄り集まる中では生命線であるという理解をしたからです。私たちの尼崎教会は会衆派の教会であり

 
 
 
2025年5月18日 復活節第5主日礼拝説教要旨「神が行う業」

ヨハネによる福音書14章1~11節 以前、釜ヶ崎にあるシェルターと呼ばれる施設を見学しました。シェルターとは臨時夜間緊急避難所とよばれるもので、野宿を余儀なくされる人々の寝る場所を用意するということを大阪市からの付託事業として行われています。多い時で1,000人が1日で利用していたそうですが、今でも200人ほどの利用が1日であるのだそうです。釜ヶ崎では野宿する人が減ったと言われていますが、実際

 
 
 

コメント


  • Facebook

©2021 by 日本基督教団 尼崎教会

bottom of page