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2024年6月23日説教要旨「実感と言葉の間」

masuda4422020

ヨハネによる福音書 4章27~42節 桝田翔希牧師


6月の終わりのころとなり、ようやく梅雨入りしましたが、気温的には夏になったような気がします。スーパーに売っている野菜が、何となく夏野菜が多くなった気がして調べてみると、ピーマンは夏野菜ということになるのだそうです。ピーマンは年中売っている気もしますが、栽培方法や流通のおかげで私たちはいつでもいろいろな野菜が食べられるということなのだと思います。食べ物で季節を感じるということは、近年少なくなっているように思います。

ファリサイ派からの逃避行の途中、イエスはサマリアの女性と出会いました。この場面に弟子たちは描かれていませんが、イエスを残して食料を調達しに行っていました。弟子たちが帰ってくると、イスラエルから差別されていたサマリアの人とイエスが話しているので驚いていますが、見守っていました。そしてサマリアの女性が立ち去った後、イエスに食事を薦めました(31節)。するとイエスは「わたしにはあなたがたの知らない食べ物がある(32節)」ということを語りました。サマリアの女性とのやり取りと同じで、食べ物から何か霊的なことを語ろうとしています。

季節に関係なく色々なものを食べることができる私たちは、食べ物から豊かなイメージを引き出すという感覚が薄くなっているのかもしれません。イエスの時代では、季節によって食べることのできるものは限定されていたことでしょう。食べ物を通してありがたがるという「コト」は様々な地域でなされてきたことでした。『奄美自立論』の中で、奄美ではサトウキビが儀式などでは用いられない理由として、サトウキビ栽培の拡大が薩摩藩による搾取に原因があり「『心づかい』が要らず、『魂の自己表現』にもならない(喜山荘一『奄美自立論』2009年、p.63」」作物と考察されていました。黒糖という「モノ」が奪われていく一方で、魂に関わる「コト」も奪われていった構図があります。私たちは多くの「モノ」を与えられている中で、魂に関わる「コト」を忘れているのかもしれません。私たちも今一度立ち止まって、日常の中に神の出来事を探すものでありたいと思うのです。

 
 
 

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