top of page
masuda4422020

2024年5月5日説教要旨「異なる価値観」

ヨハネによる福音書 16章25~33節 桝田翔希牧師


急速にコロナ前の生活が一部では戻りつつあり、対面の行事も増えてきました。しかし、オンラインの活用など、以前の生活とは変わった部分も多くあります。ここ最近のIT技術の発展はすさまじいということを感じます。また同時に、価値観の多様化も同じように急速に進んでいます。「価値の変化が速いこと、そうした状況の中で宣教における教会の戸惑いと不安が大きい(橋本滋男『福音書からイエスへ』2006年、p.160)」、そのような時代を私たちは生きているのかもしれません。キリスト教は神という絶対的な価値観を持つ宗教であると言えるかもしれませんが、相対的なものとも言えます。キリスト教(教会)と、世の中にある様々な価値観は「相互補完」の関係でもあるのではないでしょうか。

ヨハネによる福音書の16章は決別説教と呼ばれる部分の締めくくりにあたる箇所です。決別説教の大きなテーマとしては、地上に残される弟子たち(人間)の不安を取り除くということがあります。なぜ不安を取り除くことができるのか、その根拠としてこの前の部分で「イエスの名によって願う」ということが書かれています。「御名によって」という表現は直訳すると、「わたしの名の中で(本田哲郎『聖書を発見する』2010年、p.260)」という言い方であり「イエスと一体になる」ということです。私たちはどのようなイエスにつながっているとイメージすれば不安を除くことができるのでしょうか。

絶対的なイメージをイエスに重ねれば不安を取り除くことも可能でしょう。しかし、それは簡単なことではありません。旧約聖書には国が攻められ離散(ディアスポラ)し、ばらばらになるという歴史を記憶しています。人々はバラバラにされ、様々な経験の中で祈っていたのです。私たちもディアスポラされたような、ばらばらの経験をし、世の中には「抵抗」が必要なことも多くあります。様々な文化の中で私たち自身も「自ら利用できるコンテクストに移植(黒木雅子他『混在するめぐみ』2004年、p.27)」する、そのような相対的なキリスト教の中を歩んでいるのです。

閲覧数:35回0件のコメント

最新記事

すべて表示

2024年11月17日説教要旨「幸いである」

マタイによる福音書 5章3~8節 桝田翔希牧師 先日、能登半島地震・水害のボランティアに行きました。大きな震災から9か月後に水害が起こり、復興に向けて「がんばろう」と外に住む私たちはとても言えないような状況だと思います。よく神の導きを祈りながら、何とか自分たちや知り合いの人...

2024年11月10日説教要旨「マムシの子」

マタイによる福音書 3章7~12節 桝田翔希牧師 日本基督教団は英語で表記すると「The United Church of Christ in Japan」となります。この「ユナイテッド」という単語は「結ばれた、連合した」という意味の言葉ですが、ここには、誰によって結ばれた...

2024年10月20日説教要旨「イエスの祈り」

ヨハネによる福音書 17章13~26節 桝田翔希牧師 10月17日で尼崎教会は1896年の創立から128年を数えました。この間、多くの方々が尼崎教会に連なり、そして祈りの中であってこそ、128年を数えることができました。この128年を振り返る時、戦災や震災など多くの出来事が...

Kommentare


bottom of page