ルカによる福音書 16章1~13節 桝田翔希牧師
コロナ下ではリモートワークやオンライン会議など、直接顔を合わせないコミュニケーションが急速に普及しました。交通費や移動時間がかからず、感染予防とは別に経費削減や時間節約という利点が広く共有された出来事でした。恐らくこれからも、オンラインを活用した生活が続くと思われます。しかし、最近コロナの影響が薄くなってきて対面の会議に多く出席するようになると、やはり実際に顔を合わせて時間を共有するということは大切だなと思わされます。必要な発言だけをするオンライン会議では知ることのできない他者に気づかされました。最近、街中でネパールの人に良く会うことがあり、声をかけるのですが、もっとネパール語を知りたいと思うようになりました。コミュニケーションは他者をもっと知りたいという原動力になるのだと思います。
「不正な管理人のたとえ話」は難解な物語とされていて、わけのわからないお話です。不正の見つかった管理人は仕事をクビにされると察し、これからの計画を立てます。様々な考察がありますが、主人に変わって貸し付けた物から、利子を受け取ることができたようで、それを帳消しにして恩を売っておいて今後の生活のためにしようとしているようです。主人の借りを勝手に帳消しにするとは、現代的に考えればあり得ませんが、この人の行動を主人は褒めています。受け取るはずの利子があればしばらくの生活はできたことでしょうが、そうではなく、人とのつながりを作ろうとしているのではないでしょうか。
人間はお金がないと生きていけない社会で、私たちは生きています。しかし、本当のところは一人では生きていけない、誰かとのつながりによって生きているのではないでしょうか。そんなことが忘れられるのが日本の社会なのかもしれません。しばらくのお金より、他者とのつながりを大切にするということは、コロナ禍にあってより鮮明になったのかもしれません。
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