top of page

2023年5月7日説教要旨「捨てられない命」

  • masuda4422020
  • 2023年5月6日
  • 読了時間: 3分

ヨハネによる福音書 15章12~17節 桝田翔希牧師


イースターからペンテコステまでの期間も、折り返しの時を迎えました。ペンテコステの出来事は言葉や民族の違いを越えて、福音の下に共に歩みだすという平和な姿が描かれていますが、今日にあってはそれと真逆の戦争の絶えない時代を私たちは生きています。ウクライナで起こっている戦争は1年以上続いています。戦争はやめてほしいと思うものですが、戦争が起こると「死」に対する考えが変わるように思います。戦争で死んだ人が英雄視されるということがしばし起こります。日本では第一次上海事変で、日本軍が突撃するための道を自爆して開いた3人が「爆弾三勇士」と呼ばれ英雄視されました。新聞各社が報道し、軍神とまで讃え、映画や歌舞伎の題材にもなったのだそうです。人が死ぬということが英雄視される時、悲しむことが許されない状況が強要されていきます。

ヨハネによる福音書で「イエスはまことのぶどうの木」というたとえ話に続いて、ヨハネ的に「愛」を解いた物語が続いています。ここには、イエスが人々を奴隷ではなく友である、と宣言する箇所があります。奴隷は主人の考えを知る必要はなく、ただ言い渡された仕事をするという主従関係ですが、教会にそのようなことはないのです。そのような関係性の中で、私たち一人ひとりは神に「任命(16節)」され、立たされている存在なのです。そしてそのような中で「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。(13節)」という印象的な言葉が語られています。

迫害や殉教が現実的であった時代に、このような言葉は大きな励ましになったかもしれません。しかし、命は等価交換できるものではなく、一つ一つが代えることのできない存在です。また、日本にあって自決が強要された時代を経た私たちは、「自分の命を捨てる」ということを無批判に用いることはできないものではないでしょうか。ここで「捨てる」に充てられているギリシャ語は、「犠牲にする」という意味以外に様々な解釈がされる単語です。賭けるとか(イエスを墓に)横たえる(マタイ16:6)とも訳される言葉です。翻訳によっては「捧げる(田川建三『新約聖書 本文の訳』2019年)」とするものもあります。また、命という単語は「魂」とも翻訳できますが、「Life」のように生活や人生と解釈することもできるのではないでしょうか。そう考えると、ここで求められているのは、本当に命を捨てることだけではなく、誰かのために生活を捧げたり、心を置いたり、人生を賭ける、というようにも解釈できるのではないでしょうか。知らず知らずのうちに、世間では命が美談の中で語られています。イエスがどのように他者と関わったのか、今一度思い起こしながらペンテコステまでの時を過ごしたいと思います。

 
 
 

最新記事

すべて表示
2025年6月1日 復活節第7主日礼拝説教要旨「ここにはいない」

ルカによる福音書24章44~53節 ペンテコステは、言語や民族の違いを超えてキリスト教が広まっていったという出来事ですが、イエスが生きた時代のイスラエルはローマに支配されており、誰が仲間で同じ民族なのかということは大きな問題でした。「民族・国民(ネーション)」の問題が大きくあったのです。現代に生きる私たちは急速なグローバル化の中にあって、社会の変化を身近に感じるようになりました。私たちは「民族・国

 
 
 
2025年5月25日 復活節第6主日礼拝説教要旨「イエスの祈り」

マタイによる福音書6章1~15節 先日行われた教区総会では、上程された議案がすべて可決されましたが、法定議案の他に可決された大きなものとして教区互助に関連した新たな教区負担金の算定基準が2026年度から行われるということが可決されました。なぜこのような議案が出されたのかというと、支えあうということが教区として寄り集まる中では生命線であるという理解をしたからです。私たちの尼崎教会は会衆派の教会であり

 
 
 
2025年5月18日 復活節第5主日礼拝説教要旨「神が行う業」

ヨハネによる福音書14章1~11節 以前、釜ヶ崎にあるシェルターと呼ばれる施設を見学しました。シェルターとは臨時夜間緊急避難所とよばれるもので、野宿を余儀なくされる人々の寝る場所を用意するということを大阪市からの付託事業として行われています。多い時で1,000人が1日で利用していたそうですが、今でも200人ほどの利用が1日であるのだそうです。釜ヶ崎では野宿する人が減ったと言われていますが、実際

 
 
 

コメント


  • Facebook

©2021 by 日本基督教団 尼崎教会

bottom of page