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2021年12月26日説教要旨「周縁からの問いかけ」

masuda4422020

マタイによる福音書 2章1~12節 桝田翔希牧師


2021年最後の主日となりました。近頃は新型コロナの流行も落ち着きがあったような日々でしたが、新たな変異株が報道され日本でも確認されるようになりました。感染が世界中に広がっていき、またその速度も非常に速いということを感じます。これは、世界がグローバル化したということなのだと思います。現代では飛行機をはじめ様々な交通手段が整備され、世界中を人々が行き交っています。世界中に様々な人や文化があることを私たちは知るようになり、グローバル化の恩恵を受けてきましたが、新型コロナのような感染症も広まる速度が速くなってしまいました。

今朝の聖書箇所では、イエスの誕生を聞きつけた東方の学者たちが登場しています。恐らくイスラエルから見れば、外国からやってきた学者たちであったようです。そして、宗教も異なる学者がやってきたということでもありました。当時にあって学者とは、知識もありエリートとされていましたが、ユダヤ教を信じるイスラエルからすれば、何の関係もない人たちでありました。現代ほどグローバルな世の中ではありませんでしたから、イスラエルから見た東方の学者たちというのは、本当によく知らない人たちだったと思います。そして学者たちが告げた救い主の誕生という情報に、ヘロデをはじめ多くの人たちが困惑します。この時代のイスラエルは安定したものではなく、国内には様々な勢力があり、ヘロデは家族間の殺し合いもするようになっていました。そのような不安定な情勢にあって、学者たちの言葉はできれば遠ざけたいものであったことでしょう。

私たちはグローバル化した世界に生きつつ、やはり聖書の時代のように限定された範囲でしか生きていない部分もあります。人生の間で人間がすることには限界があります。日々の忙しさの中で、重要でないことはすぐに端へと追いやってしまいます。時に優先順位の中で排除される事象もあり、「『差異』を外部に追いやり、運動外部の共同闘争の対象(斎藤直子「周縁から中心へ」2000年)」として周縁へと追いやってしまうということは、組織の中でよくされることなのではないでしょうか。学者たちの問いは、周縁からの問いかけであったのです。私たちはこの世に生きていて、どこから出される声に問われようとしているのでしょうか。

 
 
 

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